「外国人技能実習制度」は、開発途上国等への技能・知識の移転を図り、経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的として1993年に創設された国際協力のための制度です。技能実習生は3年(最長5年)の期間、雇用関係の下で日本の産業や職業上の技術を働きながら学び、母国に持ち帰ります。
本制度は当初、一部の企業による低賃金や重労働など労働法令等に抵触するような扱いが問題視され、国際社会の批判を受けるところとなりました。そこで、入管法改正などの変遷を経て制度が見直され、2017年には日本人と同等以上の待遇で実習生を受け入れることが義務付けられた「技能実習制度」となりました。
外国人の方が日本で働く場合、「在留資格」が必要です。技能実習制度を利用する場合も、入国管理局による「在留資格:技能実習」の許可が必要となります。
技能実習の期間は3年または5年です。
基本的には「第1号技能実習(1年間)」および「第2号技能実習(2年間)」の合計3年間が標準的な実習期間となります。「第2号技能実習」が終了した時点で、技能実習生が上位級の技能検定試験に合格し、実習実施者(受け入れ企業様)も優良認定を受けられる場合のみ、「第3号技能実習」として2年の延長をすることができます。
※2年延長には、「実習実施者(受け入れ企業様)の優良性が認められること」や「監理団体が優良認可を受けていること」に加え、「第3号技能実習を取り扱う職種であること」、「技能実習生が技能検定・随時3級または技能評価試験・専門級の実技試験に合格すること」などの条件を満たす必要があります。また、技能実習生に対して1ヶ月以上の一時帰国を付与する必要があります。
技能実習生の受け入れ人数は、常勤職員総数の20分の1とされています。ただし、監理団体を通じて受け入れを行う中小企業(常勤職員総数300人以下)の場合は、特例が適用されます。
実習実施者(受け入れ企業様)の 常勤職員総数 |
第1号技能 実習生の人数 |
|
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通常の 場合 |
優良認定を受けた場合 | |
301人以上 | 常勤職員総数の 20分の1 |
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201人以上300人以下 | 15人 | 30人 |
101人以上200人以下 | 10人 | 20人 |
51人以上100人以下 | 6人 | 12人 |
41人以上50人以下 | 5人 | 10人 |
31人以上40人以下 | 4人 | 8人 |
30人以下 | 3人 | 6人 |
※常勤職員とは、代表者を除いた社会保険加入者数のことを指します。常勤職員には技能実習生は含まれません。
※第1号技能実習生の人数は常勤職員総数を、第2号技能実習生の人数は常勤職員総数の2倍を超えることができません。
技能実習の移行対象職種として、87職種159作業が定められています(令和5年3月時点)。
その中で、当組合で取扱いを行っている職種は、18職種26作業です(令和6年6月時点)。
職種は原則1つを選択しますが、多能工の養成等を目的として、関連する2〜3つの職種を組み合わせることも可能です。
職種名 | 作業名 |
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農業関係 | |
耕種農業 | 施設園芸 畑作・野菜 |
畜産農業 | 酪農 |
建設関係 | |
サッシ施工 | ビル用サッシ施工 |
防水施工 | シーリング防水工事 |
建設機械施工 | 掘削 |
食品製造関係 | |
そう菜製造業 | そう菜加工 |
機械・金属関係 | |
ダイカスト | コールドチャンバダイカスト |
機械加工 | フライス盤 数値制御旋盤 マシニングセンタ |
金属プレス加工 | 金属プレス |
工場板金 | 機械板金 |
機械検査 | 機械検査 |
機械保全 | 機械系保全 |
その他 | |
家具製作 | 家具手加工 |
プラスチック成形 | 圧縮成形 射出成形 インフレーション成形 ブロー成形 |
塗装 | 建築塗装 噴霧塗装 |
溶接 | 手溶接 半自動溶接 |
工業包装 | 工業包装 |
介護 | 介護 |
※移行対象87職種159作業の詳細については、外国人技能実習機構のホームページをご確認ください。
初めて技能実習を行う場合、受け入れに当たって実習実施者(受け入れ企業様)は次の準備が必要となります。
技能実習責任者は、3年以内ごとに法務省・厚生労働省が定めた養成講習を受講する必要があります。技能実習指導員と生活指導員の受講も推薦されており、全員が受講した場合、優良の認定を受けるための加点が付与されます。
実習実施者(受け入れ企業様)には、「技能実習の適正な実施」と「技能実習生の保護」についての責任が伴います。そのため、次の点に留意して実習を実施する必要があります。
区分 | 技能等の到達目標 | 受検時期 | 受検が必要な科目 |
---|---|---|---|
第1号技能実習 | 技能検定基礎級/ 技能実習評価試験初級 |
第1号開始から約8ヶ月後 | 実技、学科 (合格必須) |
第2号技能実習 | 技能検定随時3級/ 技能実習評価試験専門級 |
第1号開始から約28ヶ月、 第2号開始から約16ヶ月後 |
実技(必須)・学科(任意) |
第3号技能実習 | 技能検定随時2級/ 技能実習評価試験上級 |
第3号開始から約22ヶ月後 | 実技(必須)・学科(任意) |
※複数職種を選択している場合、合格目標とする職種をあらかじめ1つ決めておく必要があります。
外国人技能実習機構の実地検査や、主務大臣が行う立入検査、また監理団体の監査に備えて、下記書類を常に閲覧可能な状態にしておく必要があります。
※保管期間は、技能実習が終了した日から1年間です。